歯科矯正用アンカースクリューとは、歯肉の上から骨に入れた小さな矯正用アンカースクリューを固定源とし、効率的に歯を動かす矯正方法のことです。従来、歯を動かすためには別の歯や、歯ではない部分(たとえば頭部など)を固定源とする必要がありました。しかしながら、固定源とした歯を動かしたくない場合も多く、その歯の固定のためにさらに装置が増え、それでもその性質上、歯を固定しておくことは難しいため、しばしば治療効率の低下を招いていました。骨に直接歯科矯正用アンカースクリューを入れることで、それを動かない固定源として使え、動かしたい歯を効率よく移動させることができるようになりました。
歯科矯正用アンカースクリューは、歯を動かしたいところへ移動させられる可能性が高く、動かした歯が戻ってしまったり、動かしたくない歯が大きく動く心配が少ないため、矯正治療期間の短縮が期待できます。
歯科矯正用アンカースクリューを行うことによって、従来よりも歯列に強い力をかけることができます。そのため歯の移動量を増やすことができ、今までは抜歯を行ってきたケースであっても、抜かずに矯正できることが多くなりました。また、矯正治療に外科手術の併用が適応のケースでも、矯正治療のみで対応できる場合があります。
従来の矯正治療では、歯を動かす際に別の歯と引き合いをしなければならず、その歯を固定しておくための別の装置が必要でした。この固定装置には、違和感や協力性、虫歯になりやすいなどのデメリットがありましたが、歯科矯正用アンカースクリューを用いることによりこれらの装置の使用は無いか、有っても使用期間をぐっと減らせるようになりました。
矯正装置の装着により、虫歯や歯周病のリスクが上がりますが、歯科矯正用アンカースクリューで少しでも治療期間を減らし、装着する装置をよりシンプルにすることにより、このリスクを減らすことができます。
局所麻酔をして、歯科矯正用アンカースクリューを埋入する必要があります。治療後の痛みや腫れはほとんど報告されていません。矯正治療が終了した際には、歯科矯正用アンカースクリューを撤去します。
まずは通常通り、装置装着し矯正治療をスタートしていきます。
治療の流れの中で歯科矯正用アンカースクリューを使う時期が近付いたら、いよいよ埋入です。所要時間は、本数によりますが、30~60分ほどです。
成人は埋入後すぐから、15〜20歳では3ヶ月ほど期間を置いた後に、歯科矯正用アンカースクリューを歯の移動に使います。
歯科矯正用アンカースクリューを使用する必要がなくなったとき、あるいは矯正治療が終了した際には撤去します。撤去時に痛みはないため、局所麻酔なしで行います。