もう大人だしいまさら歯並びなんて治さなくても、と思っていませんか?いいえ、大人だからこそ、歯並びはきれいな方がいいのです。
御自分やお子様が80歳になった時、一体どのくらいの歯が残っているか考えたことがありますか?
現在、健康な生活に欠かせない歯を80歳で20本以上残すことを目標にした、厚生労働省の「8020運動(はちまるにいまる)」の調査では、その達成率は38%です。80歳の平均残存歯数は、全歯数28本中13.9本。歯の平均喪失本数は、40代で平均1.5本、50代で4.1本、60代で7.2本です 。
さらに、2001年、東京歯科大学と千葉市歯科医師会が8020達成者を対象に行った、かみ合わせの調査研究によると、その75%が正常咬合で、ガタガタ(叢生)もほとんどない人でした。達成者に受け口の人は一人もいませんでした。逆に言うと、不正咬合を抱える人が8020を達成することは至難の業といえそうです。
歯を失う原因の多くは、虫歯と歯周病です。そして8020達成者の歯並び調査からもわかるように、不正咬合も歯を失う大きな原因だと考えられます。
虫歯菌によって歯が溶ける病気です。一度虫歯を治しても、そこからまた虫歯が拡がってやがて歯をダメにしてしまうこともあります。
歯周病菌によって静かに進行する、歯肉と歯槽骨を蝕む病気です。最後はグラグラして歯がぬけてしまうこともあります。
磨きにくい為に虫歯・歯周病を増悪させる原因となります。しっかりと噛めないために、特定の歯に負担がかかり、そこから歯を失いやすくなります。
そして、一度歯を失うと、歯列のバランスが崩れてしまい、次々に歯を失うことにつながりやすくなってしまいます。
見た目の改善はもちろんですが、矯正治療の本来の目的はそればかりではありません。歯並びが全身の健康に大きく影響を及ぼしていることはよく知られていることです。元気なお年寄りは、歯が多く残っている人が多いと言われますが、これは、歯の根を包む歯根膜にはセンサーがあり、噛み合わせによって脳に刺激を送るため、脳細胞が活性化し意欲や集中力を上げるとの研究結果からも説明できます。
矯正治療で正しいかみ合わせをつくることは、歯の口腔の機能を取り戻し、歯の健康寿命を延ばし、さらには全身の健康を促進させることにつながります。 また、矯正治療は自分の歯と向き合うよい機会です。
個々の歯を並べるための矯正装置には、マルチブラケット装置とマウスピース型矯正装置があります。
歯にブラケットを接着しワイヤ-通すタイプ。外側に付ける唇側矯正ブラケットと、裏側に付ける舌側矯正ブラケットがあります。材質によりその特性に違いがあります。
メタルブラケット | 欠けるなど破損の心配が無いが目立つ。 | |
セラミック ブラケット |
透明度があり審美性がよいが、やや欠けやすい。 | |
リンガル ブラケット |
歯の裏側の装置のため、審美性が高い | |
マウスピース型矯正装置 | 審美性も高く、取り外し可能。 |
大人の矯正治療(本格矯正治療。1期治療後の2期治療もこれに含む)の流れ
お口を診て、歯並びの気になるところや御希望をうかがいます。
口腔写真、レントゲン撮影、お口の型取りなど分析資料を採ります。
資料を基に治療計画を立ててお話しします。
マルチブラケット装置、インビザライン、舌側矯正、インプラント矯正などの方法で歯を並べていきます。(約1年半~3年ほど)
歯を並べ終わった後、装置を外して放置すると戻ってしまいます。保定装置(リテーナー)を使用して後戻りを防ぎます。(約2年~)
一方、審美歯科や美容歯科と呼ばれる矯正方法では、歯を大きく削って被せ物を入れて短期間で見えるところを良くする方法が多いです。削った歯は戻ってこないこと、被せ物は一生ものではないことなどを良く理解してから選択されることをお勧めします。